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夏休み特別実習その3

今日は菊畑茂久馬氏に関する発表の日でした。

80年代の絵画について
・[天動説]シリーズ
氏の絵画のシリーズ物第一弾。
緑がかった灰色でほぼ統一され、棒状の物体が埋め込まれている。
「絵画と物体の相克」「平面の絵画と立体の物体のせめぎあい」
といった評価がなされている。

九州派との関わり
九州派とは:1950年代〜1960年代に活動した日本の前衛芸術グループ。
三池闘争と朝鮮戦争に刺激を受けて、ある種の熱気を持った
九州に生まれたこのグループは、労働戦線の人間と彼らを
とりまく文学者と多く交流を持ち、その枠組みの中で「反東京」
「反芸術」を含む組織論や表現論を生活原理の上で査証しようと試みたグループだった。
菊畑氏は九州派結成時の中心メンバーであった。

オブジェについて
60〜70年代にかけて菊畑氏は、公には展覧会などを行わなかったが、
徹底的に物と向き合うために、オブジェを制作していた。
これは人にみせるための制作ではない。
この時期の制作は、後に絵画を制作するための準備であった。

思想と言説について
・山本作兵衛との出会い
1960年代半ば、菊畑氏は元筑豊の炭坑夫山本作兵衛と出会っている。
山本作兵衛は炭坑の生活の「記録画」を描き続けていた。
菊畑氏は、彼の作品が自身の「表現思想の死角を衝いて」いると感じる。
そこから菊畑氏のオブジェを制作する時期が始まるのである。
菊畑氏にとっては、オブジェを制作し“物”と向き合うことが
新たな表現へとつながる作業となった。
・戦争画について
太平洋戦争中、画家たちは従軍画家として戦争画を描いた。
それらの作品は、果たして権力に芸術が屈服した恥部として
とらえられるべきなのか。
菊畑氏は、彼らの作品は、表現とは何かという問題を
提示していると述べている。

これで全てのチームの発表が終わりましたね。
今後は今回学んだことをさらに深めていきましょう!

次は夏に皆が見てきた鑑賞教育を報告してもらいます。
一体どんなものがあったのか、非常に楽しみです。

学部四年 矢追

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夏休み特別実習その2

気がつけばもう8月。
光陰矢の如しとはよくいったもので、ホントにあっという間に毎日が過ぎて行くような気がします。展覧会に向けて準備も急がないと!
 
昨日(8/1)は夏の風物詩、大濠公園での花火大会でしたね。見に行った方も多いんじゃないでしょうか。今回の実習は、その大濠公園の敷地内。
そう、福岡市美術館です。

「菊畑茂久馬と<物>語るオブジェ」展には、福岡市美術館(以下市美)から貸し出される作品もあります。
 <ルーレット>シリーズと呼ばれる連作の一つで、現在は常設展示には出品されていないのですが、今回特別に見せていただきました。諸事情により写真を掲載できないのが残念ですが、気になる人はぜひ11月の展覧会を見に来てください!

・・・と、ここで本題に入る前に。
今日は実習に出る前にみんなでミーティングを持ちました。

議題は二つ。
① 今後について、さしあたっての役割分担
② 「菊畑茂久馬と九州派」&「菊畑茂久馬と80年代の絵画」チームの発表

というわけで、まずは役割分担から。
今回決定したのは記録・広報、そしてアートフェア担当の3つです。「アートフェア」についての詳細はこちらのブログを参照してください。
実は今回、AQAプロジェクトはこのアートフェアの一環として、教育普及活動を行うのです。詳細については今後のいくつかの段階を経てこのブログでご紹介できると思います。

記録&広報・・・連携して活動。統括リーダーは宮武→まずは広報計画を作成。
 記録…写真・書類その他を記録&メンバーに配布 (岩永・松本)
 広報…AQAプロジェクトについての広報 (児玉・金元)

アートフェア担当・・・ミュージアム・シティ・プロジェクトの宮本さん(アートフェア シミュレーションα事務局員)に連絡をとり、今後の方向性を決定 (緒方・吉村・西川)

それぞれ、各リーダーを中心に今後の見通しを立てて行きましょう!


 2つめ。発表!・・・ですが、九州派については諸事情により今回はパス。
80年代の絵画についても発表は全部終わらなかったので、また日を改めてよろしくお願いします。
このブログへの掲載はその後、ということで。担当の人がんばってねー!




 本題!
 先日の実習(*7月5日 菊畑茂久馬を見に行こう!参照)では、絵画作品、つまり「オブジェ後」の作品を見に行きました。そういった意味では、今回の作品は「オブジェ前」ということになります。

 今回の実習では、作品を目の前にして、メンバーで順番にディスクリプション(*)していきました。

縦長の4枚のベニヤ板をつなげた長方形を基盤材としているこの作品、さまざまなモノが取り付けられています。

一番上の部分には、卵形のような、歪んだ楕円形が4つ並び、そのなかにはそれぞれルーレットのような、あるいはダーツの的のような模様が一つずつ描かれていて、そのすぐ下には何かの機械の部品のような、赤茶けて錆びた鉄の物体が4つ、横並びに配置され、その間には石膏を固めたような白い固まりが2つ取り付けられています。その上にはアクリルのボードがボルトで取り付けられ、それらが透けて見えるようになっています。そして最も目を引くのは、画面の下半分に配された大きな“ルーレット”。赤い卵形のなかに、ルーレットが描かれています。

全体としてはニスが塗られたような茶色の下地に対して、各ルーレットには赤・青・黄色といった原色が多用されていて、卵形、長方形といった図形の組み合わせと相まって、作品全体に動きを生み出しています。

 作品の印象について一言で言うと?という質問について、メンバーから出た意見としては
・ なつかしい
・ 棄ててきた故郷
・ 忘れていたオモチャ
・ 奇妙
・ シンプルな賑やかさ

といったものがありましたが、さて、実際に展覧会で作品をみたあなたは、どんなことを作品から感じるのでしょうか。


学部4年 緒方

* ディスクリプション
一言でいえば、作品について、目に見える情報を言葉に直していくことです。どんな色、どんな材料、どんな表現が用いられているのか。作品について解釈するまえに、まず何が描いてあるのか、何が見えるのかを整理する、美術史の最も基本的な作業です。

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